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弟君が寝ている。フカフカお布団ではないけど。
なんかちょっと薄っぺらい、タオルケットみたいな。
家はそんなに貧乏に苦しんでいるのかもしれない。
それでは可哀想だ。僕が頑張って助けないと。
沢山、恩返しをしなくてはいけない。ニャア。
とりあえず弟君に近寄ってみる。肩を自慢の肉球で
押す。押す。一緒に寝れば薄っぺらくても寒くない。
中に入れて欲しいのです。
「うー。夏は暑いんだから涼しいトコで寝なよー。」
え?なんで、なんで、なんで?
弟君は元気で優しくて、可愛がってくれて。あれ?あれ?
僕何か悪いことしたのだっけ?
確か半年前くらいだったら。
「ニャアっち。寒いから一緒に寝ようぜ。入れよ。」って。
あの優しい弟君じゃない!別人なのか、それとも。
それとも、もう。僕はいらない猫かもしれない。
悲しくて悲しくて、一階に下りると
お父さんがテレビを見ていた。お父さんも僕が嫌いかな。
お父さんは猫背だから、猫が好きなはずなんだ。
きっとそうだ。だったら、確かめてみなくちゃ。
ピョン。
お父さんの背中は大きい。猫背だから頑張らないと滑る。
なので爪を立てて落ちないよう頑張る。僕頑張ってるよ!
お父さんは僕のこと好きだよね!
「痛い!痛い!イテテテテ!ニャンっち、酷いよー。
服がボロボロじゃないかー。ダメじゃないかコラ!」
え?なんで、どうして、なんでなの?!
怒られた。いつもなら抱っこしてくれて。撫でてくれて。
お父さんも僕が嫌いになったんだ。
もう僕にはお姉ちゃんしかいないんだ。お姉ちゃんは
絶対に優しいんだ。僕を追い出したりしないんだ。
お姉ちゃんは寝てた。なので起こさないように
お姉ちゃんの布団の滑らかなカーブのトコに寝ッ転がる。
ほら!嫌がらないよ!お姉ちゃんは、僕の味方なんだ!
よかった?。
なんかお姉ちゃん、さっきから辛そう。苦しいのかな?
病気だったら、どうしよう!お姉ちゃん頑張って!
(お姉ちゃんはニャンっちの重みで、絶賛【金縛り中】です。)
頑張れお姉ちゃん!がんば……僕も眠いね。このまま寝ようかな。
おやすみなさい。
いきなり飛び起きたお姉ちゃんは、あんたのせいね!って
怒鳴った。お、おね、お姉ちゃん?!そ、そんな、そんなはずは。
み、みんな僕が嫌いなんだー。こんな家頼まれたって居てやらない!
こんな悲劇は、400字以内の原稿用紙では表現できない。
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