1.休息と労働

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「いぇえぇーーい!」  教室内で多くの生徒達が騒ぐ。異常な程のテンションで。  何かトラブルが起きたわけでも、担任が怒鳴り散らしているわけでもない。皆がザワついているのは訪れたその喜びを分かち合っているからだった。 「やったぜ。これで寝坊や遅刻に悩まされずに済むぞ!」  本日は一学期の終わり。夏休み直前の最後の登校日。終業式を終えた教室内は外の暑さに負けない熱気に包まれていた。 「くぅ~…」  明日からは早起きしなくていい。慌てて着替えたり、母親に叱られる事も。何の制約もない生活の到来だった。 「おい。夏休みだぜ、夏休み」 「あ、うん」 「やったな。明日からは学校来なくて良いんだぞ」 「……水瀬くん、凄く嬉しそうだね」 「当たり前じゃんか。だって1ヶ月以上、授業を受けなくて済むんだぜ?」  隣の席の男子生徒と会話を交わす。自由を共感するように。 「でも登校日があるし」 「んなもんサボる」
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