最終章:亮二

54/55
1008人が本棚に入れています
本棚に追加
/413ページ
目を見開いた西島は また、私の知らない表情をしていて 私は、まるで大切なコレクションが増えたような気分で そんな表情を、脳裏に大切に仕舞った。 その瞬間 ふいに、きゅっと腕を引かれて 西島の両腕に包まれる、直前。 触れたかどうかわからないくらい ほんの、一瞬 私の唇に 西島の唇が触れて 私はただ、真っ白になってしまった頭と 力いっぱい抱きしめられた体に伝わる彼の鼓動を感じながら “宮崎、バスケ好き?” “え?” “やんない?” あの日の会話を 大切に思い出していた。
/413ページ

最初のコメントを投稿しよう!