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放課後は、竜司との待ち合わせまで図書室で時間を潰し
時計が17:30を示すと同時に、カバンを抱えて立ち上がる。
一日中この瞬間を楽しみにしていたものだから
図書室で眺めた本なんて、正直記憶に残っていない。
慌てすぎたせいか、校舎を出た瞬間ポケットから携帯が飛び出し、アスファルトの上を滑っていった。
慌てて拾い上げたその画面に表示されているのは、愛しい人からのメール。
【6時に駅前のファミレスでいい?】
これは、5時間目に届いたものだ。
もう何度も読み返しているのに、開く度何度でも気持ちは高揚する。
ゆっくり歩いても十分間に合う距離を小走りで向かいながら
ふと思い立ってカバンから櫛を取り出した。
頑張って伸ばした髪は長く、胸の辺りで毛先が揺れている。
何もかもを持ち合わせている愛がショートカットだから
これは、ひとつでも勝るものを持ちたいというささやかな気持ちの表れだ。
こんな事で愛と同等になれるとも
これが肝心の竜司の好みなのかもわからないのに
自分のプライドを守るように
丁寧に、毛先から順に櫛を滑らせていく。
そして時計を見て、再び足を踏み出した。
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