ライオンとハイエナ

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内腿に触れる大きな手のひら。 割り入ってくる骨ばった指。 肌を舐める熱く湿った舌。 私は息を殺す。 その大きな手のひらは、沙羅のあの細くしなやかな足に触れたのだろうか。 その骨ばった指は、沙羅の柔らかく濡れた場所に触れたのだろうか。 その熱く湿った舌は、沙羅の白い肌を舐めたのだろうか。 高遠君の頭を両手で挟み込み、口づけをねだる。 柔らかく絡む舌に、沙羅の舌を想像する。 沙羅の中の柔らかさを知っている、その部分が、私の柔らかい所に押し入って来る時、私は沙羅とひとつになったような幻想に囚われた。 馬鹿な私。 そこに紗羅はいないのに。 沙羅に直接触れられない代わりに、私は沙羅の触れたものに触れるんだ。 「……紗羅」 高遠君が小さく呟いた。 高遠君には私が紗羅に見えるんだろうか。 ならば、私と高遠君は同じだ。 私も高遠君に沙羅を見る。 「沙羅……」 高遠君の向こうに沙羅を見た。 沙羅がどんな風に高遠君に抱かれたかなんて知らない。知りたくもない。 それでも私は沙羅を抱いた男に抱かれることでしか、沙羅に触れられない。 沙羅の肌はどれほどの熱を持っているんだろう。 沙羅の唇は、どれほど柔らかいんだろう。 閉じた瞼の向こうに熱を感じながら、私はひたすら夢を見た。
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