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「トア、は、本名?」
トア、は、あたしの彼女、だった。今日みたいな、ライブあとの夜明けに出待ちされて、告白されて、頷いた。
小さな小さなトア。
トア、は、本名?
小さな小さなトアは小さく首を傾げる。
「トアの本名はトアだよ?永遠の、愛、でトア」
「へぇ」
適当に頷いて、ソファに凭れる。疲れた、んだよ。横でトア……永愛、が、汗をちゃんと拭いてとか、飲み物買ってこようかとか、なんとか、言ってる、気がする。
「ノア、ねぇ、ノア」
「……なに」
「汗、拭いてあげるから、上だけでいいから脱いで」
「ん」
永愛には、なんとなく逆らえない。真っ黒のTシャツを脱ぐ。ひやり、とした、感触が、背中を行ったり来たり。
「ノアは細いねー。ちゃんと食べてる?」
「食べてるよ。昨日はパン食べた」
ぐらぐら、と頭が揺れる。眠たい。眠たい。あぁでも永愛が、なにか言ってる。聞かないと。聞かないと。
でも、
この耳は。
この体は。
歌うためのもの、なんだよ。
永愛。
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