第1章

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目を瞑って小さく笑ってそれで御仕舞い。 永愛。 「バイ、永愛」 耳元で囁いて、永愛から離れる。 え、が、お、で。 「楽しかったよ、永愛」 立ち上がって男物のシャツを羽織る。小さなカバン、スマホ、相棒のギター。 遊ぶのは、いつだって楽しい。 それが相手が人なら。 それが恋愛ごとなら。 それが後腐れない恋愛なら。 どんなに、楽しかろう。 寂しかったのは永愛。 独りぼっちだったのは幻音。 ボタンを掛け違えたとかそういう間違いじゃなくて、どちらともボタンだった、みたいなそんな間違いのあたしたち。 根本的から違うんだよ。 馬鹿だったね、あたしたち。 バイ、永愛。
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