ピロトーク:煽られる気持ちの俺

4/11
前へ
/220ページ
次へ
 しかし――  締め切り、1週間前を控えているんだから、お互いにガマンせねばなるまい……  悶々としながら袖をまくり、ネクタイをワイシャツの隙間に、ぐいぐいと押し込んだ。  とにかく、ちゃんとした生活をさせて、執筆に向かわせてやらなきゃな。 「どーせメシ食ってないんだろ、今から作ってやるから、ちょっと待ってろ」  悲しいかな、コイツは自分で作ろうという技術はおろか、食欲というものが、欠如しているらしく、俺が作って無理矢理にでも、食べさせないと、水分でお腹を満たしてしまう、困ったヤツなのである。  簡単に流し込んでしまえば、それでいいじゃんと、あっさり言い放ったのが、かなぁりショックな言葉だった。  今まで一体、どんな生活を、してきたんだか――  冷蔵庫から野菜を適当に取り出し、洗ってまな板の上に置いていく。 『なぁ、キスしてって言ってみ?』
/220ページ

最初のコメントを投稿しよう!

105人が本棚に入れています
本棚に追加