ピロトーク:煽られる気持ちの俺

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 分かってない、ぜーんぜん分かってない!  文章は読みながら物語の中から、雰囲気や心情など、自分の中に想像もとい、妄想するまでタイムラグが生じる。  一方、声や映像は、ダイレクトに自分の中へ、ガツンと飛び込んでくるから、容赦がねぇというワケ。  こっちの事情はお構いなしに、心が躍り踊らされ、カーニバル状態になるんだ。  この高鳴る気持ち、どうしてくれよう――  困り果てて、俯くしか出来ない。 「あーあ、せっかく、執筆熱が上がったのに急降下だよ。誰かさんのせいで」  俺に背中を向け、ぶつぶつと他にも文句を、言い続けるアイツ。  しょうがねぇだろ、俺だってこんなこと言われたくない。 「イヤだったんだ、だって――」 「なぁにが?」  不機嫌満載の渇いた声が、胸に突き刺さる。 「お前に似てるから。流れている声が、さ」  これ言ったら余計、機嫌が悪くなるだろうな。 「はあぁ!? あのさ、ちゃんと耳、ほじったほうがいいんじゃね? こんな声してないって」
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