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――さすがは声優、演技が上手いなぁ――
音声はカレシのみで、彼女の声は一切なし。なので一人芝居なのである。
声色ひとつで、その場の雰囲気を作っていくのに、いたく感心した。
「僕も同じように、文章でソレを表現しなきゃならないんだもんなぁ。てかアイツとデートしたのって、いつだっけか?」
一緒に暮らす前は、気分転換だと僕をよく、外に連れ出してくれたのに。
今は連れ出してくれるどころか、かごの中の鳥になっている。
生活のつまらなさを再確認してしまい、ため息をついた時だった。
『なぁ、ちょっと、休憩してく?』
なぁんて甘い言葉と一緒に、吐息とリップ音が部屋の中に大音量で流れ、思わず顔がニヤけてしまう。
イヤだと言っても、どこかに連れて行っちゃうよな。この荒んだ状況の自分なら、間違いなくついて行っちゃうよ!
――っていうか……
こんな風に誘われたことなかったなぁ。
目が合った瞬間、僕を見る目にアイツの中にある、欲情を感じて。
気がついたら唇を奪われ、押し倒されてるという――
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