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「被害ゼロ、とまではいかなかったな」
ポンと肩を叩かれた。
振り返ると長が立っていた。
その目は作業の様子を見守っている。
「すみません、 俺の力不足です」
「作戦変更も多く、よく言えば臨機応変だが、それについてこれた他の者たちに感謝だな」
「う……ごもっともで」
今回これだけの被害で済んだのは皆の力が大きい。 というか思っていたよりフウトたち精霊付きの働きが凄かった。
特にツチネ。 まさか外に出るって自ら言うとはな。
あいつが外でも落ち着いて本領発揮できたのはラキのおかげだったし……本当に俺、皆に助けられたな。
「でもまぁ即興でよくやったと思うよ。
皆の力や性格を知っているからこそできた、お前らしい策だった」
「長……ありがとうございます」
涙が出そうだ。
「さ、これから一番辛い事が待っている。
行くぞ」
俺の感動はそっちのけ。
長はクルリと身を翻して行った。
……一番辛い事?
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