代償

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あの騒動から2週間が過ぎた。 里の雰囲気もだいぶ元に戻ったように思う。 そして、未だキクトを説得できていないまま今日を迎えた。 今日はあの騒動の詳しい説明と、キノ兄の処分内容の発表をする。 会場には既に大勢の人が集まっていた。 事のあらましは長が説明した。 既にひと騒動あり、それも収まったしその場で不満を叫んでいた事もあったせいか、思ったより皆落ち着いて聞いてくれていた。 そして、肝心のキノ兄のこと。 「キノエはここから……この世界から追放することにした」 言葉を発した瞬間シーンとなる。 そして、一瞬の後ざわざわとどよめきが広がった。 そりゃそうだろう。 それにしてもキノ兄が言い出したことなんだからそんな言い方しなくても、と長の肩を持ってしまう俺はまだまだなのだろう。 「行き先はキノエが行っていたカラクリの世界。 週に1度、コウに様子を見てきてもらう。 その際ミユナに同行してもらい、随時血液検査等体調を診てもらう。 キノエに異変が生じた場合、また重症を負った場合はこちらに連れ帰る。 ただし、その場合でない限りは一生異世界に残ってもらう」 ミユナと言うのはミラの妹だ。 歳は24。 主に引退組の家を回る訪問診察を行っている。 性格も容姿もミラとは正反対で、優しく物静かで穏やかに微笑む可愛い系だ。 余談だが、ミラとミユナの間には27歳になる薬剤師のスズヤもいる。 彼は無口でマイペース。 もっぱら引きこもって薬の調合をしている。
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