旅の準備

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長の言葉で、隣に座っていたシュウが、プリントの束を渡す。 10cm……束の厚みを見て俺はちょっとホッとする。 2言語必要な世界や、文化が複雑な世界に行った時は、この倍以上の厚さはあった。 「シュウ、どんな感じだった?」 シュウは俺と同い年で、長の補佐という同じ職業。 ただし、あいつは俺と職人が行く異世界の下見と下準備、それに、長の仕事のデスクワーク系の補佐が仕事。 俺は、旅の同行と、デスクワーク以外の補佐が仕事。 「言語の習得は時間かからない。 多少カタコトでも他国からの旅行者で何とかなる。 タカノには最低限のマナーと言語を集中的に教える」 シュウは、そう教えてくれる。 うん、まぁそこが一番知りたい情報でもあるんだけどさ。もっと、こんな雰囲気の世界で、周りの人はこんな感じだったよーとかあるじゃん。 無口で堅物、無愛想。 でもイケメン。 なのでモテる。 どちらかと言うと、付き合いたいとかでは無く、遠くから眺めてキャーキャー言われるタイプ。 本人はそれに対しても無関心だが。 ちなみに俺は、友達曰く『顔はいいのに口が悪い』だそうで、全然モテない。 シュウだって、仲がいい俺なんかにはよく悪態つくぞ。 口を開くかどうかの差だけで、こんなにモテ度が違うのかよ。
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