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雨が地面を叩く音。
それを踏む音。それをかき消すように唸る銃声。
もはやこの銃の弾丸も尽きる頃だろう。
今手にしているのは偶然見つけたアサルトライフル。AK74uだ。
この銃は元々水陸両用の銃なので水に濡れても多少は大丈夫にできている。と、確か本かネットに書いてあったきがする。
廃墟の陰に隠れる。雨が降っているのと、あたりはもう暗いのでとても隠れやすい。それでも油断できない。となりには誰かの死体。といっても腐敗していて、ずっと前の死体なのか、ついさっき出来た死体なのかわからない。
耳につけている無線機は、素敵なことに水没でもう動かない。手元にあったレーションも残り半分。弾薬も数少ない。
現実とゲームとはこれほどまでにも違うのだ。
(いや、これも言わば「ゲーム」だな)
ゴールは見えず、セーブポイントもなく、弾薬箱なんて存在しないゲーム。そんなゲームに参加してしまった自分。
最初は軽い理由で軍に入隊した。行くところがなく、趣味で筋力トレーニングしていたおかげだけで、今ここにいる。他人と異なる部分といえば……思い出して見たが特になかった。
完全に独り身になってしまった彼にとって、仲間に自分の存在を伝える唯一の手段。フレアガンが2つもある。フレアガンに関しては完全防水袋で包んであるので、水没することはない。
耳につけている無線機は、もし無線機が回復したときの為につけている(といっても直る気配はない)。
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