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あれは、小5の春の遠足の日。
「あら、渡辺さん一人なの?
彼女隣にいいかしら」
大型バスの後方に一人で座る私のもとに、隣のクラスの宮原先生が連れてきたのが真由だった。
「どう……ぞ」
同じクラスになったことは一度もないけれど、私は真由のことを知っていた。
陶器のようになめらかで白い肌、少しウェーブがかかった茶色くて長い髪に黒目がちな大きな瞳。
まるで外国製のお人形みたいに綺麗な真由は、この学校の有名人だった。
ずっと、綺麗な子だなあ、って思っていた。
「綿貫 真由です。よろしくね」
「……渡辺 梨紗です」
「ふふ、出席番号一番最後どうし、仲良くしよ」
こんな子と友達になれたら、嬉しいなあって。
その日以来、まるで綻んだばかりの大輪の花のように鮮やかに微笑む真由から、私は目が離せなくなった。
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