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「梨沙、ずっと黙っててごめんね」
真由は大きなガラスの水槽に手をついて、前を見つめたままでそう言った。
このエリアは、真由がいつの日か潜りに行きたいと言っていたグレートバリアリーフを再現してある。
大きな水槽の中に、カラフルなサンゴの海が広がる。
真由は無邪気な顔をして、憧れの海に見とれていた。
賢くて、誰にでも分け隔てなく優しくて、誰よりも美しい真由。
どうして真由は、こんな私と一緒に居てくれたんだろう。
本当はずっと不思議に思ってた。
……でも、真由は大学のこと、私に一言も相談してくれなかった。
私だって真由の夢、応援したいって思っているのに。
やっぱり私は、真由にとって相談するに足りない存在なの?
「真由なんて、知らない」
私はまた真由を置き去りにして、一人でずんずん順路を進んだ。
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