3月2日、アクアリウムで

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 「梨沙、ずっと黙っててごめんね」  真由は大きなガラスの水槽に手をついて、前を見つめたままでそう言った。  このエリアは、真由がいつの日か潜りに行きたいと言っていたグレートバリアリーフを再現してある。  大きな水槽の中に、カラフルなサンゴの海が広がる。 真由は無邪気な顔をして、憧れの海に見とれていた。  賢くて、誰にでも分け隔てなく優しくて、誰よりも美しい真由。  どうして真由は、こんな私と一緒に居てくれたんだろう。 本当はずっと不思議に思ってた。  ……でも、真由は大学のこと、私に一言も相談してくれなかった。  私だって真由の夢、応援したいって思っているのに。  やっぱり私は、真由にとって相談するに足りない存在なの?  「真由なんて、知らない」  私はまた真由を置き去りにして、一人でずんずん順路を進んだ。
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