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「ねえ、真由。あれは何?」
ジンベイザメの背中に、口の尖った魚がへばりついている。
「あれはコバンザメだよ。梨沙、コバンザメ知らないの?」
不思議そうに首を傾げる真由に、私は黙ったまま首を左右に振った。
コバンザメって言葉なら、知ってる。
人気者の真由にくっついて離れない私のことを、陰でそう呼ぶ子たちもいたから。
「あんなにぴったりくっつかれて、ジンベイザメは邪魔じゃないのかな」
ジンベイザメに密着したまま離れないコバンザメの姿が、新しい道に進もうとする親友を応援することもできない自分と重なった。
本当は笑顔で真由を送り出してあげたいのに、どうして私はいつもこうなんだろう。
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