くればいいのに

8/11
前へ
/11ページ
次へ
「……くっ、ふふ」  不意に、俯いたままの真由が声を漏らした。  ゆっくりと顔を上げ、  「梨沙は、嘘つきね」  そう言って目を細め、優雅に口角を上げる。  私を見上げる真由の瞳はもう涙で濡れてはいなくて、鈍くて妖しい光を湛えていた。  私はゴクリと唾を飲む。  こんな真由、私は知らない。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加