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代わりに、嫁に電話した。
彼女を捜す為に。
嫁は、お袋に呆れながらも俺に同意してくれて、出来る限り捜そうと言ってくれた。
だがしかし、「でもほぼ不可能だとも思うわよ」と、付け足して。
俺も、二度と会えない予感はした。
──それ以来、俺と嫁の予想通り。
地元を捜しても捜しても会えない。
嫁が業者に頼んでも、埒が明かなかった。
当然だ、名前も知らない。
あの時に聞いていても、きっと、教えてくれなかっただろう。
到底、捜しきれるものではなかった。
──あれから、三年目の夏。
彼女とすれ違った駅前通りに、俺はまた立っていた。
街路樹の葉が増えた、
石畳が煉瓦になった、
そんな程度にしか、変わってないのに。
彼女は見つからない。
あの時の様に、つくつく法師が煩いだけだ。
彼女が言った言葉を、忘れられない。
忘れる事が出来ない。
忘れてはならない。
──ただ。
俺は未だ、お袋ごと。
彼女達に恨まれているのかと思うと。
申し訳なさと、許しを乞いたい想いで。
苦しいほどに内臓が、、、気持ち悪い。
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