[ Ⅰ ]

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 心臓が握り締められた感覚だった。  どうしよう、どうしたらいいんだ。  お袋、あんたどんだけだよ。 「葬儀屋さんて、次の葬式を予言して侮辱するのが仕事?  違うよね?」 「それともあんたの母親だけ?」 「あの科白が、セールスを断った事への報復なら、葬儀屋失格だよね」  さしもの俺も、何も言えなかった。  顔が青ざめているのが、解るくらいだ。  彼女は黙る。  蒼白な俺を、楽しむかの様だ。 「あ、あの、母が、大変な失礼を申しました。  どうも昔からの悪い癖で、あの、謝って済む話ではありませんけど、 えっと、あの──」 「金も謝罪も要らないよ。  三面記事に売ったりもしない」  俺を遮って、薄い笑みを浮かべながら、彼女は言った。
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