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「あんたも職業柄、人に恨まれ慣れてるでしょ。
そんな二人が増えたと覚えといたら?」
「え…?」
彼女の言葉が、意図が、解らなくなった。
土下座でも金でも、覚悟を決めかけたのに。
──冷たい微笑。
割と美人だけに、余計に怖い。
テレビに作られた台本の指示じゃない。
本物の冷たい微笑。
嫌な悪寒が走った。
彼女の狙いは、何だ。
「今の私は、あんたの母親と一緒。
言いたいから言わせてもらった」
「──!」
「だけどさ。
自分の知らない所で恨まれてるって、普通に気持ち悪いよね」
「恨まれてるって知ったら、それ以上に怖いよね」
「あんたの場合、恨まれ慣れてるだろうから、そう怖くもないんじゃない?」
「何もしないし、何も出来ないけど。
何よりあんた等親子に、そんな労力費やしてやる気なんかない」
「ただ、恨むよ。ずっと」
「何をしても、許さない」
「精々、怯えたらいいんだ」
──な、ん、、、
立て続けに告げられた言葉は、俺から思考を奪った。
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