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暑い暑い夏の放課後。
クラスメートの田近が、とんでも無い事を言った。
「シイナは、好きな人とかいるの?」
なぜ? 四那に、そんな質問を投げる?
「え? ウフフ……」
蕾が開花するように、四那が笑う。
まるで、お伽噺のプリンセス。
はぐらかされた田近は、少し焦ってゴクリと唾を飲み込んでいた。
「俺…… シイナの事……」
隣に居る私は、眼中に入っていないらしい。
田近は勢いで告白モードに突入。
顔には出さないが、私の心はゲリラ豪雨に負けない荒れ模様となっていた。
「あ~
わたし、図書室に本返しに行かなきゃ~」
「えっ!?」
ガタッと派手な音を立てて、四那は立ち上がっていた。
「みっちゃん、帰ろー♪
じゃあね~ 田近くん」
咲き誇る満開の笑顔に、田近はポーッと頬を染める。
私は、複雑な心中のまま、四那に続いて教室を出ていた。
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