つなぐ

7/8

31人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
「遠藤にミツバって、呼ばせちゃダメ」 四那が、口を尖らせて私に注意した。 降り注ぐ西日が、四那の顔を照らして、まるで蜃気楼。 誰もいない図書室は、私を変な気持ちにさせていた。 「じゃあ、シイナも…… 田近に嫌いって言って……」 「………………」 四那の大きな瞳が、ユラリユラリと揺れて日の光に反射する。 四那は、グルリと前方左右を抜け目無いように見渡していた。 「ごめ…… 変な事……」 気持ちが噴き出した自分を戒めるために、私は謝っていた。 四那は、私を包む込む様に、フワリと跳んでいた。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加