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「良介さん、お久しぶりです。」
「おー電話なんて珍しいな。どうした?」
「ご相談したい事があって…今日昼に会えませんか。」
「あぁ、じゃあ昼に。」
早々に切れた電話の音を聞きながら、千太郎はひとつ息をついた。
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「光也、今日昼は別な。帰りは一緒に帰れるから。」
千太郎の言葉に、光也の顔が綻ぶ。
「今日、塾は?」
すぐに不安げな顔で尋ねる光也に、千太郎は心が痛んだ。なんて事ない日常。ただ一緒に下校すると言うことだけで、こんなに一喜一憂するなんて。
昨夜の様子も全て、光也への説明を後回しにした自分を悔いる。
余計な心配を掛けたくなくて、この前の様に不安定にならないようにしようとした。
けれど、光也との時間が減り、他人の問題に巻き込まれている事に精神的に疲れてしまい、光也をちゃんと見れていなかった。
自分のことばかりになっていた事を反省する。
「今日は休み。」
「そっか。」
今度こそ本当に安心した笑顔に、千太郎は自分の不甲斐なさを感じた。
今日は、光也とたくさん話をしよう。
そう心に誓い、光也と別れた。
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