見えない恋人

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雨で濡れた歩道橋の階段。 それと私の黒いローファー。 これを降りるには、手すりを持って 注意しながらでないと危ない。 私は傘をさしたまま、 足元を見ないまま、 手すりなんて持たないまま、 階段を降りる。 ちょうど階段の角に足をかける。 滑りやすくなっていて、 足が居場所を見失う。 居場所を見失った足は、 ただただ宙を浮遊して それに伴って私の体もバランスを崩す。 きっと、このまま行くと、 私は階段から落ちて、頭を強打して、 死ぬんだ。 痛いだろうな。
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