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アキがベッドから出ようとすると、桜田はアキを抱き寄せた。
「離れる時間がもったいないけど、食べないと力出そうにないから」
アキは静かに微笑み、優しくキスをした。
『すぐ作るから、もう少し待っててね』
そう言って、ベッドから出て行った。
アキがキッチンで料理をしている姿を、桜田はじっと見つめていた。
アキのそんな姿を見ながら、今の自分の生活を思い出す。
社長の娘、マリエとの生活。
マリエはマリエなりに、桜田のために慣れない料理を必死に作っていた。
だが、いつも帰りが遅い桜田は、マリエの料理を食べる事はない。
部屋に帰っても、疲れたと言って、ろくに話もせずにベッドに潜り込む。
桜田もまた、笑えない毎日なのだ。
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