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これ以上話すことはない、と足早に屋上を去っていく背中に手を伸ばす。
“待って!!”
去っていく小さな背中を追いかけようとして、全身に鈍い痛みが響き渡った。
ゆっくりとまぶたを開く。
「……ったた」
思いきり打ち付けた背中をさすりながら立ち上がる。視界に映っているのはいつも暮らしている自分の部屋だった。
「……はあ」
一気に体から力が抜ける。
夢か……。
夢にしては少しリアル過ぎたな、なんて考えながら時計を見る。いつもより早い時間を指している針は、心なしか重たくて動きづらそうに見えた。
‐‐‐
「こん、おはよー! いつもより早いね!」
教室の扉を開くと、いつもと変わらない人懐こい笑顔で挨拶をしてくれるふわふわのポニーテール。
早起きして時間をいつもに合わせたりしないでそのまま来たから、確かにちょっと早いかもしれない。教室には、私たち以外には机に突っ伏した人数人しかいなかった。
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