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「え?」
一度せきを切ったら止められない。
「ナイチンゲール症候群。または転移性恋愛。これは看病される者と看病する者との間に恋愛感情が生じるもの」
「それがどうしたのよ」
美鈴の声が震えている。
「わからないの!このままだと私、美鈴のことを好きになってしまいそうなの!親愛じゃなく恋愛で!」
声をあらげて美鈴の方を向く。
前が歪んで彼女の顔がはっきり見えない。
「こんなだれもいない状況で!片足も片手も無くなって!そんな時に優しくされたら惹かれないわけないじゃん!」
だんだん影が近づいてくる。
「私はもう普通じゃないの!介護も無しに歩くこともままならない!だから、だからさ・・・」
頭では引きはなそうとしても、体が動かない。
美鈴に抱き締められた。
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