第1章

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 猫カフェか。行ってみたいな。アイドルみたいな猫が沢山かな。 我が家の栗桃さん(♀4歳、超イケメン。でも♀。)と違って、 野性味の溢れるハンディング・キラーマシーンじゃなくって。  ラブリー・プリチー・キュアキュアなんだろうなぁ。 いいなぁ。猫カフェ、猫で埋もれる、猫カフェ。――芭蕉。  よし。行こう。極楽へ!  お店で販売している、猫じゃらし風玩具や、先っちょに ネズミっぽい可愛い釣り道具などを購入する。 可愛いスタンプカードにハンコもハンコも押してもらう。 手を洗い、アルコール消毒も済ませる。荷物はロッカーへ。  二重の引き戸を開く。いざ出陣でござる。そこは豪傑だらけ。 いきなり包囲されるまで、3分にも満たない。ゆっくりと ネズミ人形の釣竿で、軽く振り回して様子を。様子を。様子。  あっというまに引き千切られ、敵部隊は百年早いわ! とでもいわんばかりに、棒と糸だけを持った私を置いて 撤退していく。コレが孫子の兵法なのか。  実際、振り回してる時に何度か殺意を感じた気がした。 猫カフェとは武士道を持たぬ者、屍をさらす戦場と心得よ。  まぁ、結局はおやつタイムにカリカリを店員さんに貰って ハッピーライフを過ごしました。やたら構うよりも 店内にある漫画なんか読んでると、たまに近寄ってくるのが 堪らなかったのです。モンハンとかを邪魔されるのがいい。  そう堪らなかった。よもや堪らなくなっていくなんて。  帰宅。誤魔化すのにも程があるが、余った猫じゃらしと 単なる棒切れに糸。別にエサもない。栗桃さん用玩具も無い。 「栗桃さん、お土産ですよ。」 基本的に、栗桃さんは猫じゃらしでは余り相手をしてくれない。 ハンターとして舐めてもらっては、無礼である。そんな感じ。  だからって。棒と糸。これは無理があるだろう。 私個人にも猫の匂いが残っているはずだ。(消毒はした。) だが意外にも、栗桃さんは糸に食らいついた。 普段は興味をしめすようなモノじゃない。っていうか棒と糸。  何かおかしい。まるで、キャバ嬢に贈り物、安物アクセを 突っ返され凹んで、ウイスキーで酔って帰宅。ボンクラ親父が、 嫁さんに「これお土産だよ。」って渡して後先考えずに渡す。 「珍しい!記念日でもないのに!可愛い!ありがとうね!」  という喜びの奥様の顔が、殺意に満ちたように。バレバレ。 それが今の私の気分なのです。栗桃さん、ごめんなさい。
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