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そこはそれ。帰宅するとき栗桃さんに気付かれないように
消毒、消臭スプレー、着替えまで用意する徹底ぶり。
これで栗桃さんが嫉妬するなら、道端で猫を撫でることも
叶わないではないか。だからばれていない。所詮は猫だ。
ばれていないのだろうか?
インターネットで可愛い猫さん達の写真をシェアしまくる。
白いのもいいなあ。3匹全部並んでお風呂もいいなぁ。
私も栗桃さんを撮影しまくって、猫写真家として芸術を
志すのもいいなぁ。芸術の秋だしね。えへ。さてコーヒーを。
振り向いた、襖の隙間から栗桃さんがこっちみてる。
近寄ってくる甘えてくる、いつもの愛らしさが無い。
まるで私の無防備さを、調べてるような鋭い眼差し。
い、いや。栗桃さんはイケメンだし。♀だけど。イケメン!
でも動く気配もなく、ひたすらに私を眺めている。調べている。
目を逸らせば命は無いと思え。そういう威圧感で動けない私。
猫カフェの子たちが坂東武者の、豪傑だと例えるならば。
今そこにいる栗桃さんは、忍者というか暗殺者に近い。
ゆっくり栗桃がこちらに近寄ってくる。私の膝を段に使わず
PCのキーボードの上に悠々と座る。堂々たる威厳がある。
よく見てみたら、カナチョロを咥えていた。
や、やめてください。本当に。その子にお慈悲を。逃がして。
だが栗桃の目は私への土産。違う。「明日はお前だぞ?」
まるでPCをマスターしているかのように、電源を切って
栗桃さんはこっちを見据えた。ひぃ!イケメンの睨み怖ぇです!
すかしてなだめて、遊んでおやつで。やっと寝てくれた。
疲れた。よく考えたら気のせいだろう。遊びたかっただけだ。
明日も栗桃さんといっぱい遊ぼう!新しい玩具も買ってこよう。
私と栗桃さん(♀4歳イケメン)の、毎日が恋する私達の芸術!
翌朝。枕元に猫カフェのスタンプカードが引き裂かれていた。
気のせい、気のせい、気のせい、気のせい、気のせいなんです。
そうだよね?
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