第1章

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「……わかってるです…わたしがいくら想ってもライムは見向きもしないって」 「なら、もうやめればいいだろ。女同士、見てて痛々し――「うるさいっ!」  幼馴染みの言葉をまたも遮り、ミニアは叫んだ。登校中の生徒が何人か振り向く。 「あ、あんたにはわかんないも……っ、男だって、それだけでライムをスキでいる資格を持ってるあんたにはっ……!」  大粒の涙を頬から溢しながら、幼馴染みをキッと睨んだミニアは、もう目と鼻の先に迫った校舎へとパタパタと駆けていった。 「……ばっかやろ、ミニア。ちょっとはオレの気持ちに気付け」  残された幼馴染みはボソッと一言そう発して髪をくしゃくしゃに乱した。  ***  ミニアは苛められっこだった。可愛らしい顔立ちが災いし、女子からの執拗な苛めを受けていた。  男子には気付かれないように、主に女子トイレに連れ込まれての苛めは陰湿で、あることないこと悪い噂話も絶えなかった。  それは初等クラス修了間際まで続き、他校から転入してきたライムと出会うことで終止符を打った。 「ミニア、これからは私が護ってあげるから大丈夫よ」  差しのべられた手の温かさに涙が止まらなかった。
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