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踞って下を向いていた顔が自然と上向きになった。
「……ライム…?
なんで、なんで、泣いてるですか?」
ミニアに差しのべられた手の先に、目元を潤ませ、鼻を真っ赤にさせたライムの顔があった。
「……別れちゃった」
ライムの後方から射し込む陽が彼女の姿を逆光で遮る。きらり光る頬を伝ったひとしずくに、ミニアは心を痛ませた。
「ライムを振るなんて、最低です、信じられないです!
あんなやつ、わたしが殴って――」
「ううん、いいの。
それより、ねえ、今から授業をサボってカワイソーな私の失恋パーティーに付き合わない?」
「はひっ、よ、喜んでっ!」
こんなことで喜ぶなんて、現金なのかもしれない。ミニアは泣き顔を笑顔に変え、小瓶をそっと赤いポーチにしまった。
***
憂さ晴らしにと、カラオケのフリータイムにドリンクバー。今日はとことん盛り上がるわよと顔を合わせて笑って楽しんで。
「あ、飲み物なくなった……ねぇ、ミニア、次も連続で曲入れちゃった。
ジュース、お願いしてもいい?」
空のグラスを手渡され、ミニアは二つ返事で貸しルームを出て、ドリンクバースペースへと向かった。
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