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――その時、ミニアはジュースを注いだグラスに数滴、ぽちゃんとあの薬を小瓶から垂らした。
ほんの僅かな量ならば一過性で終わる。少しでもライムが失恋の痛みを忘れられるならと思った。
「お待たせです、ライム」「ありがと」
グラスの氷がからんと音を立て、ライムは一気に飲み干した。
「んーーっ、おいしい!」
1時間経ち、2時間経過しても――ライムはいつもと変わらない。
もしかしたら、失敗したのかもしれない。
ミニアがそう納得した時だった。
「あーあ、ミニア、振られちゃった。
ねえミニア、どこかにさ、私のこと大好きで大好きで仕方な~い……っていうコ、居ないかなぁ~」
真っ直ぐにミニアを見つめてくるライムの瞳が、熱を帯びていた。
誘っているようにも思われて、しかし惚れ薬の効果は速効性、これはライム自身の意志だと気付く。
枯れかけてしおれかけ、ちっぽけで、儚くて、でもうんとうーんとあったかいもの――そんな想いを笑顔にぎゅうっと詰め込んで。
「ここに……ここにいる…です、
だいすき、だいすき、ライム」
ミニアはライムの胸に飛び込んだ。
End.
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