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(あれ?)
『何を今更』と罵倒される覚悟だった美奈は少し拍子抜けするとともに、少し悲しくなった。
心にチクリと棘がささったかのような感じ。
(ひょっとして、この人も私に話し掛けた後、同じ気持ちだったのかな)
すごく申し訳ない気持ちになった。
「あ、あの、他にも、せっかく話し掛けてくれたのに、ただ謝るだけですみませんでした」
しばらくすると不良少女は再び美奈を見た。
「あぁ、別に。慣れてるから、さ」
ぼそりと呟いたその言葉は何と寂しいものか。
「そんな、そんな寂しい顔してそんな事言わないでよ!」
驚いた顔をする不良少女。
そして、ここは電車内。
何事かと好奇の眼差しが二人に降り注ぐ。
「自分は可哀相です。みたいなオーラ出してさ!」
最初はただただ驚くだけだった不良少女も、だんだん顔が険しくなっていく。
「お前に何がわかんだ!親のDVも、学校のイジメも誰も助けてくれなかった。みんな離れていった。キレてつっぱったらますます離れた。お前みたいな愛情いっぱいのやつに私の気持ちなんて」
「私は、その親すら知らないんだよ?」
いつの間にか、目に涙を浮かべながら美奈に怒りをぶつける不良少女。
しかし、その前に立つ美奈もまた泣いていた。
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