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考えを巡らせていると、礼拝堂の扉が乱暴に開いた。
扉から見える月明かりに照らされた大きなシルエットと同様に、強い威圧感を感じた。
カツン・・・カツン・・・
高い音を鳴らして近づいて来たそれは、私より頭1つ分大きな男の吸血鬼だった。
吸血鬼は悪魔に向かって言った。
「逃げるな」
彼女は私に走り寄り、私の腕を取って勢いよく言った。
「ボクはこのヒトと結婚するって決めたの!」
ぎょっとする私を無視し、吸血鬼は私を睨みつけた。
「それを返せ」
困った私が下を見ると、悪魔は憂いの微笑みを返してきた。
一瞬、子鹿の微笑みに見えた私は頭を左右に振り、考えを切り替えた。
「私はあなた達二人を退治します」
「えっ!?ボクも退治するの!?」
「まずは、吸血鬼からです」
「やれるものなら、やってみろ」
私と吸血鬼はお互いを向き、戦う体勢になった。退治すると言われ、再び床に座り込んだ悪魔は言った。
「ボク、あいつの所に行きたくないよ。あいつはボクの力を手に入れようとしているんだ。そんな事されたらボク・・・死んじゃうよ。お願い、神父様・・・ボクを助けて」
「悪魔が神父に願い事ですか?」
「ボクを助けられるのは、神父様しかいないんだ」
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