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「……そう、それ」
ディランは手を叩かれたにも関わらず、笑顔を浮かべたまま言った。
「リリーは昔からそうやって人に頼ることを嫌がるから。今回もそうだったんじゃないの?」
「は?」
「迷惑をかけちゃ駄目、頼っちゃ駄目。嫌われるから?」
違うよね。
ディランは優しい声音で言う。
「失うのが怖いんだ」
「……ディラン」
「俺だってそんな時期があったからね。わからないでもないよ」
ディランは微笑み、リリーの頭を撫でた。
リリーも今度は拒まずに、大人しくされるがまま。
「失うのは怖いでしょう。でも、ねぇ、もっと恐ろしいことはなに?」
「もっと恐ろしいこと……」
もっと、恐ろしいこと。
失うのを恐れて、拒むことよりも。
「今……」
今、会えなくなること。
その方がよっぽど恐ろしいのに。
「あたし……」
目からぼろぼろと雫が滴り落ちる。
「大丈夫、まだ間に合うよ。明日にでも会いに行ったら?」
ディランが告げる。
リリーは少し黙った後、小さく首を振った。
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