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「リリー……あのね」
ヴァンが溜め息をつく。
途端にリリーの肩が揺れる。
もしかしてもう遅い?
やってしまったことは戻らない。
ヴァンは怒ってしまっただろうか。
しかしヴァンは溜め息の後にリリーを見ると、くすりと微笑を浮かべた。
「今更そんなことに気づくなんて、馬鹿なの?」
そう言いながら額をこつん、と拳で小突く。
「あ……う、うん」
リリーはぽかんとしたものの、ヴァンを見て微笑んだ。
「あ、有難う。ヴァン」
「俺は優しいんだから、許してあげるけど。次間違えたら拳骨だからね」
いつもの不敵な笑みを浮かべるヴァンに、リリーもわかってるわよ!と微笑み返す。
「それより、リリー」
「なにかしら?」
「……その格好できたの?」
ヴァンの言葉にリリーはきょとんとする。
そして自分の体を見下ろすと、ああ、と呟いた。
「そうよ」
「そうよって……」
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