第一章

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「リリー……あのね」 ヴァンが溜め息をつく。 途端にリリーの肩が揺れる。 もしかしてもう遅い? やってしまったことは戻らない。 ヴァンは怒ってしまっただろうか。 しかしヴァンは溜め息の後にリリーを見ると、くすりと微笑を浮かべた。 「今更そんなことに気づくなんて、馬鹿なの?」 そう言いながら額をこつん、と拳で小突く。 「あ……う、うん」 リリーはぽかんとしたものの、ヴァンを見て微笑んだ。 「あ、有難う。ヴァン」 「俺は優しいんだから、許してあげるけど。次間違えたら拳骨だからね」 いつもの不敵な笑みを浮かべるヴァンに、リリーもわかってるわよ!と微笑み返す。 「それより、リリー」 「なにかしら?」 「……その格好できたの?」 ヴァンの言葉にリリーはきょとんとする。 そして自分の体を見下ろすと、ああ、と呟いた。 「そうよ」 「そうよって……」
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