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口には出さずに、胸の内でつぶやく。
言ってみたところで、今さら何も変わらないのをわかっているから。
「そんな不機嫌な顔するなって。…聞いてるか？」
少年が声をかけるが、少女は反応を見せない。
彼の言うとおり、不機嫌そのままの顔をしているのだが、言われたくなかったのである。
「おい、空愛(あくあ)？」
名を口にする少年。
彼女のものではない、しかし、彼女によく似た者の名を。
「聞こえてる。こんな距離で聞こえないわけないでしょうが」
八つ当たり的に発言して、ハッとする少女。
感情をコントロールできていないことにばつの悪そうな表情を見せる。
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