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「君がサラファリアの失われた姫だと言うのは本当か? これには空愛姫が病気にかかったため、婚礼は無理だと判断し、市井で育てていた鞠歌姫を代わりに送ると書かれている」
「え…」
アクアは今まで、書状の中身を見ようとしてみたことはない。
見ても何が書いてあるか分からないからだ。
龍威の言うことが本当ならば、空愛が見つかっても交代させる気はないということになる。
「嘘…そんなの知らない」
愕然とした様子のアクアを見て、龍威が立ち上がる。
促されるままにソファーに座る。
「サラファリア皇は約束を破らないために止むを得なく身代わりを出したと書くって言ってたのに…時期を見て入れ替えるからって、言って、いた、のに」
アクアにはもはや丁寧な口調で話す余裕がなかった。
裏切られた。そう、思うと涙が出る。
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