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この世界に一人で放り出されて何日になったのだろう、不安だとか、寂しさだとか、いろんな気持ちが入り混じってもう、自分でも何が何だか分からなくなる。
「すまない。サラファリア皇が強硬な手段に出たのは、私が散々脅かしたからだ。彼はなんとかして娘をここへ越させまいとしたのだな」
隣に座った龍威は、アクアを抱き寄せた。
先ほどバルコニーでしたように、優しく髪をなでる。
「では、君は鞠歌姫でもないのだな?」
何とかアクアが落ち着くと、龍威がそう問う。
「違います。もしかしたら、その可能性はゼロではないのかもしれませんが、私は全く知りません」
「可能性?」
「私、親がどこの誰だか知らないのです。サラファリアへ行って、空愛姫が私と瓜二つなのを知ってびっくりして。その上、火事の際に行方不明になった鞠歌姫のことを知らされて…サラファリア皇家の方々には言わなかったのですが、子供の頃、火事に遭ったみたいで、今も背中には火傷の跡が残っているんです。だから、可能性としてはなくもないってことで…」
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