第二幕

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「私は、自分とこの国を守るために沢山の犠牲を出した。この手は朱に染まっている。これからも染まり続けるだろう。それでも、私の傍にいると誓えるか?」 「私は人々を守るために多くの命を奪いました。この手も朱に染まっています。貴方を恐れるとお思いですか?」 龍威の腕にさらに力がこもる。 見上げると、すぐ近くで目が合う。 「私の王妃になる者が君みたいな人でよかった」 それでは答えになっていないと、アクアは少し不満に思う。 それを感じたのか龍威が微笑んだ。 「アクア。君の望む形ではないけれど、すでに君は私の大切な人だよ」 そう、言った。 「左手をかしなさい」 アクアを解放した龍威がそう言う。 言われるままに手を出すと、龍威は中指に指輪をはめる。 (って中指?) 「王妃の証だ。持っていなさい。…どうした?」 「いや別に…何でもないです」 「アクア。先ほど隠し事は無しだと約束したね?」 いきなりそれをついてくるなんて卑怯だとアクアは思った。 「それに言葉遣いも気にすることはない」 「え?」 かあっと顔に血が昇るのをアクアは自覚する。 見破られていたのだ。 「意地悪」 「何とでも言いなさい。それで?」 さらっと言い返される。 「…私のところでは、薬指にするのよ。結婚指輪。だから意外に思って」 「なるほど。しかしそれは中指にするものだ。すまないが」 「うん、わかってる。伝統は、おろそかにするものじゃないしね」 そう、本来の口調で言うと、龍威はどことなく嬉しそうな表情をする。 「やっと、元気になったようだ」 「?」 「どことなく一生懸命な感じがしていたんだ。無理をして明るくふるまおうとしているのかと思っていたんだが…。自分を抑え込んでいたんだな」
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