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それは何、と問いかけようとしたアクアは、その答えに思いあたり、顔を赤くする。
王妃にしか、龍威の妻にしかできないこと。
それは彼の子供を産むことだ。
このローアジャウルを継ぐ者を。
「それだけ龍威のこと好きなら出来るだろう? でも、サラファリアとの決着がついてからの方がいいかな」
「え?」
「跡継が出来たら、いらない王妃を殺そうとする連中が出てくるかもしれないってこと」
恐ろしいことをさらっと言ったキルアイドに、アクアは思わず手にしていた本をぶつけたくなった。
すんでのところで自制したが。
「龍威がいくらかばっても、限界はある。姫さんにはそのことを覚悟しておいてほしいんだ。今、あいつは自分自身が微妙な立場にある。じじいどもに舐められているんだ」
年若き王。
そんな龍威に頭を下げることを快く思わない者もいるのだとアクアは感じた。
「今、若い連中の間で結束を固めている。この棟は番兵も含めて信用できる者だけをおいている。いつか、完全に俺たちが主導権を握ったら。その時は、姫さんも自由に動けるようになっているはずだ」
「ん…待ってる」
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