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「陛下は軍部の者からは大変人気です。内乱を起こしても勝ち目がないと父は考えたのでしょう」
泣きやんだシーアは続きを話し出した。
アクアはお茶を淹れ、シーアの前に置く。
泣いた後はのどが渇くのだ。
「それでサラファリアと手を結んだのね。たとえ属国となっても自治権は奪われないから」
平和主義のサラファリアの政策を利用されたというわけだ。
「すでにサラファリアは戦の準備を始めているみたいだし…。ここで何とか頭をつぶしておかなくてはならないってことよね。シーアには辛い話だけど」
「いえ、いつかはこの日が来ることを覚悟しておりましたから。私にとって、王は陛下です。そう決めた心に悔いはありません」
「そっか。これからどうなるの?」
「おそらく父を始め、家の者は断罪されるでしょう。私が家を継ぎ、陛下の基盤を固めます。駆悠様本人は王位に関心がないとのことですから、国内の混乱は一時収まるかと。後はサラファリアの出方次第ですね」
それを聞いたアクアはため息をついた。
「そればかりはふたを開けてみないと分からないってことよね」
「はい」
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