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その男は銀髪を短くしており、雰囲気が異国のそれを思わせた。
「3年C組、金弘相士(かねひろ まさし)さんですね」
「ああ、そうだが」
銀髪は振り返りもせずにそう答えた。ひたすらカンバスに向かって何かを描いている。俺は何を描いているのか気になって後ろからカンバスを覗きこんだ。そして驚いた。
カンバスには一種、異様な光景が描かれていた。
それはどこかの田舎町と思わる風景が描かれているのだが、その状態が異様なのだ。銀髪が左手で持っている筆より左側は精密で緻密な街の様子が描かれているのだが、右側は真っ白のまま、カンバスの地がそのままなのだ。つまり銀髪は左端からまるでプリンターが写真を印刷するがごとくカンバスに描いているのだ。普通は全体的な輪郭や構図を決めてから描いていくと思うのだが……。
「そのままで結構ですから、僕の質問に答えてもらっていいですか?」
「構わないが――君たちは誰だね?」
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