プロローグ

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 今から五十年ほど前、それほど昔ではない昔の話。  とある二人の学者が権威ある科学誌に共著で論文を発表した。  その論文には超能力の存在と、超能力を持つ少年少女が中国の山岳地帯にある村に住んでいる事が記載されていた。  そのセンセーショナルなニュースは超能力の真偽を含めて世間で広く話題になった。  マスコミが連日に渡り、少年が手を触れずに物を動かしたり、少女が箱の中身を当てたり、まるで手品のようなその様を取材し、レポートした。  数日後には各国の主要な研究機関がその村へ学者を送り込んだ。  マスコミの方は一ヶ月も経つと目新しいものがなくなり、ほとんどが引き上げていったが、学者達は研究を進め、村の存在が発表されてから一年と経たずに超能力の存在は科学的に実証された。  その超能力は、最初に発表された論文にて使用されていた”ファカルティ”という表現をマスコミが多用していたので広く一般的にも使われるようになり、そう呼ばれるようになった。
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