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明るい所で龍博を見るのは半年ぶりかもしれない。
髪は伸び、着ているジャージの肩にはフケが溜まり、虚ろな目をしている。
中学生ではなくホームレスのようなその風貌に愕然とする私に、龍博はポケットからグシャグシャの紙を取り出して広げる。
「この紙、姉ちゃんか?」
表情一つ変えない龍博の手にもたれた紙は、朝方扉の隙間に滑り込ませた溜息ウサギからのメッセージだった。
「そうだけど?」
私はしっかり龍博の目を見つめながら言葉を返す。
「余計な事すんなよ。俺は何を言われても学校には行かない」
そう言って紙を再びグシャグシャにして玄関に立つ私の隣に投げ捨てた。
その後すぐに背を向けて、階段を登っていく。
「待ちなさい龍博!!」
私は足元の丸まった紙を拾い、再び広げていく。
「何?まだ何かあんの?」
明らかにイライラした様子の龍博が私に鋭い目を向ける。
しかし、ここで引き下がる訳にはいかない。
「ここに書かれた文字は、今のあんたに必要なメッセージだと思ったから書いて入れたの!龍博、あんた一体学校に行くことの何に怯えてるの?」
「俺は怯えてなんか居ない。周りの馬鹿共と関わるのが面倒なだけだ」
「面倒なんじゃなくて、関わる事が恐いんじゃないの?」
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