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龍博の部屋の前に立ち扉をノックする。
「龍博、ご飯!」
私の呼びかけに、数秒してから返事が返ってくる。
「置いといて」
「たまには出てきて受取りなさい。それと、ちょっと話があるんだけど」
「俺は無い」
「じゃあ夕食も無しね」
「は?何でそうなるんだよ。滅茶苦茶だな」
その龍博の一言は、我慢していた私の逆鱗に触れる。
先程の母の涙のせいもあったのかもしれない。
「滅茶苦茶はどっちよ!!あんたね、毎日家にこもって何をするでもなく一日を無駄に過ごしてこれからどうするつもり?お母さんが今どういう状況か解ってんの?
自分一人の力で衣食住も手に入れられないクソガキが調子に乗ってんじゃないわよ!」
私はそう言って、扉に思い切り拳を叩き込む。
それと同時に扉は開き、目を血走らせた龍博が出てきた。
拳をプルプルと震わせながら、「うわああああ」と叫び声を上げながら私に殴りかかってくる。
私は龍博の拳を中段受け払いで弾き、その勢いで腕を取って関節技をキメる。
そのまま背中を膝で押して、龍博の身体を床に押さえつける。
「馬鹿ね、私に勝てるわけないでしょ!」
身体をジタバタさせながら、「クソ」「どけ」を連呼している。
「もういいでしょ龍博。正直に話して!あなたを苦しめるのは誰?お姉ちゃんに話しなさい!あんたは嫌かもしれないけど、私達は家族なの!たった一人の弟なの!」
その私の言葉を聞いた龍博は、悔しそうに肩を震わせて泣いた。
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