第3章:ジェラシー

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「龍博、とりあえず明日土曜日だし、お姉ちゃん特に予定入ってないから行くわよ!」 「は?いきなりすぎるだろ!土曜日だから先生だって休んでるだろうし」 「教師はそんなに暇じゃないわよ。土曜日くらい出勤してるって。とりあえず、明日9時には起こしに来るから、今日は早めに寝なさいよ!」 親子丼の乗ったお盆を持った龍博の背中を押しながらそう告げた私は扉を閉める。 階段を駆け下り、冷めた自分の親子丼を食べ始める。 「龍博を虐めてた生徒の家に行くつもり?」 親子丼に箸をつけてすぐに、ソファで頭を抱える母が告げる。 「うん、そのつもり!ダメかな?」 母はきっと止めたほうがいいと言うだろうと思いながら、母の言葉を待つ。 数秒間沈黙が続き、母は搾り出すように言葉を発する。 「いいんじゃない?それくらいしないとダメなんだろうね。私には、玲奈みたいな行動力がないから……そんな選択は思い浮かばなかった」 意外な母の言葉に驚きながら味噌汁を飲む。 母はスッと立ち上がり、頭が痛いから寝ると言って2階へ上がって行った。 リビングで一人になった私は、ほとんど脳裏から消えかけていた溜息デイズの事を思い出す。 取り出して溜息の回数を見ると、209回という数字が看板に書かれていた。
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