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あまり綺麗じゃない外階段を、一段、一段上るが、ふらふらと地面が揺れている気がする。
「おかしーらー。そんなに飲んであいとおもうんらけどなー……」
多少呂律がおかしいのは、いつもの事。独り言が大きくなるのも、いつもの事。
「あー、かいらんでは、静かにしあさい。って言われらっけ?」
管理人が、住んでんだよなー。しかも、階段のまん前の部屋らし、うっさいんだよなー。
大体、階段がちょっとの音でこつんこつんとウルサいんだよ。ゴムとか敷いて消音でもすればいいのに。
大家がケチなんだろうなー。あ、でも家賃高くないし、仕方ないかぁ。
手をつきながら、偶に躓きつつもシンとしている階段をのぼった。
途端に、ぺろろぴろろぽろろ鳴るのは、俺の携帯らしい。
「うぉ!わ、べっくらしたー…」
社会人になってから、携帯が鳴るのは仕事関係。しかし、なんせ、会社の飲み会だったし、関係者皆一緒だったのだ。そのスグ後に携帯が鳴るとは思ってもみなかった。
がちゃり。と、案の定、一番近くの戸が開き、管理人が渋い顔を出す。
「す、すんません」
とりあえず、頭を下げる俺。一先ず、自分の部屋へ駆け込んだ。
誰からだろう?と、既に鳴ってない携帯を開くと、メールが一通。
メール?何か忘れ物でもしたっけかな~?と頭はまだぽやぽやとしていった。
しかし、目に入った文字にすると、時間が止まった。
『Go house! Was your house forgotten?』
びく。と身体が震える。
……
………
…お、怒ってる??
何で?
頭の中にくえすちょんまーくが飛び交い、さあーっと先ほどまで気持ち良かった酔いが冷めていくのが分かった。
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