≪飲み会≫

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「「「かんぱ~~~い!!」」」 がちん、がちいん。 そこかしこで、ジョッキが鳴る。 手近な人にグラスを当てると、自分もぐびぐびと喉を潤す。 「うま~っ」 ぷは。と息を吐き出す。これこれ!この為に仕事してるんだよ。なんてオヤジ臭いかもしれないけど、仕事終わりで、営業目標達成してる時のビールは、マジ美味いっ。 すると、ソレを見ていた隣に座っている同僚が、声をかけてくる。 「甲斐、おまえ、本当に美味そうに飲むね~」 「実際に美味しいもん!」 にこり。と笑いながらそっちを見ると、相手もにこり。と笑顔を返してきた。 今日は営業部の成績締日。今月はなんと1課2課合せて、全員が目標達成をしており、部長以上の上司達の奢りのお疲れ様会になっていた。 「甲斐!お前、良くジャパンゼネラルの受注、とって来れたなー。アソコ、先月、岩村先輩が行ってダメだったんだよな」 「うん。おれ自身もそう思う。でも、課長がアドバイスくれて…」 「えぇ?上原課長?」 俺たち営業2課の課長の名を上げる。上原課長は有名な、ゴマスリマン。部下の面倒を見てくれたためしがない。 「そんなわけねぇだろー。三城(みき)課長だよ」 「あー、だよなぁ~。てか、お前2課のくせに、何で1課の課長と懇意にしてんだよ」 今度は反対側の先輩から、声と共に、腕が俺の首に絡まった。 ぎゅうぎゅうくっ付かれて、苦しいやら暑いやら、いっちゃあなんだが、臭い。男にくっ付かれて、筋肉の胸を押し付けられても、嬉しくない。
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